白竜の長の話
「どうしても、行ってしまわれるのですか?」
うなだれた小さな白い竜が、大きな白い竜を前にしてそう言った
大きな竜は、愛おしげな目をして、その竜を見ると優しく語りかける
「貴方は、もう大人で、それに、白竜の長ですよ
いつまでも、私に頼っててはなりません」
「ですが、貴方がいてこそ、私は長となれたのです
貴方が支え、その力を持って私を育てて下さったからこそ!」
白熱する小さな白竜に、わらかぬよう、そっとため息をつき独白する
まったくわかってませんね
私のことは過大評価で、自身のことは、過小評価とは
まったく困ったお方だ
「私の力を与えても、育たぬものは育ちませんよ
そんなに過大評価されても困りますよ」
くすりと笑い、その小さな白竜の気持ちを横に流すと
「決めてしまわれたのですね・・・」
と呟き、小さな竜は、再びうなだれた、
大きな竜はかがみ込むようにうなだれた頭を自身の頭を持って持ち上げ
長い首に、頭をなすりつけた
「はい、決めました
しかし、長、私は居なくなるわけではありません
新しき7つ命を守り、そして、竜の国にあるたった一人の護り人を護るため
その使命の為に参るのです」
そう語る言葉に偽りはない
竜本来の言葉が力強く大地に広がる
それを聞き受けた小さな竜は、誇りを胸に抱き
持ち上げられた頭をさらに伸ばし、大きな竜と向き合う
「長、貴方が必要ならば、このブロージュ
いつでも参ります
ただし、子どもではありませんから、寂しいからといってお呼びされては困ります
もしかすると、私の伴侶になるかもしれない女性ですからね」
ちゃめっけたっぷりのブロージュの言葉に
長は、目を見張る
「そうなのか!ブロージュの子がまた産まれるのか!
それはめでたい」
うってかわって嬉しそうな声で、長は答えブロージュを
きらきらしたまなざしで見つける
ブロージュの伴侶があったのは、もう200年も前
その後、前長とともにあり
さらにその後、小さな竜を育てるのに尽力を尽くしていた
強き竜の強き子、竜はなによりそれを欲する
「まだ、解りませんけどね
素晴らしい女性ですよ、彼女は」
うっとりと囁くように語るブロージュに
長は、幾度も頷きこう宣言する
「よし、長である私が命ずる
その女性を迎えろ、そして、この里へつれてこい!」
「全ては彼女次第
しかし、その努力はおしみませんよ
時が来れば必ず、長よ、貴方にまみえましょうぞ」
静かに目を閉じ、長と対峙するブロージュ
そのブロージュにそっと頭を乗せて答える長
子と育て親の関係では無くなったが、
二人の密接な関係はまだまだつづくようだ
ブロージュの恋の行方
そして、小さな長の行方
今は、まだ、誰もしらない・・・・
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
と、いうことで、なんか小咄かいちゃいましたが
ブロージュさんでしたー
初小咄ブロージュかよっ(笑)
自分でびっくりしたよ
まぁいいや〜(2010.06.03)
読み終わったらブラウザを閉じてネ